「父親には女性がいる」と母親とともに相談に来た30歳の息子。母親は、姑のいる兼業農家に嫁いで30年以上献身的に家を支えてきた。父親とも大きな諍(いさか)いもなく円満な家庭をはぐくんできた。
 それなのに、会社を定年した去年から父親は変わった。何かにとりつかれたかのように。昼夜を問わず外出が頻繁になり、無断外泊も多くなった。
 揚げ句の果てに、預金通帳をすべて取り上げ母親を息子の元に追い出し、離婚をしろと迫ってきている。冷静な話し合いもできない。
 調査開始2日目。午後8時、父親は車で家を出た。スーパーに立ち寄り古い公営住宅の一室へ。まもなく、同年代の女性と隣接する市のラブホテルへ入り、翌朝の7時まで過ごした。その後、女性の素性調査を経て、依頼人は弁護士事務所の門をたたいた。
 定年を機に、人が変わってしまったという相談も増えいる。定年後夫婦水入らずの時間を過ごすことを望んでいる妻にとっては、悪夢ともいえる現実がある。

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