夫のテールランプを追う。車は住宅地の中の小さな公園の柵に寄せて停車した。公園から道路を照らすはずの街灯が寿命なのか、点滅を繰り返している。
その点滅がかろうじて運転席の夫の姿を浮かび上がらせる。
探偵のひとりは、公園の植え込みの中へ身を潜め、車のドアの開閉を見逃さない位置で張り込む。
近年このような分譲地は防犯意識が高く、不審なことがあるとすぐ通報されてしまう。調査対象者だけではなく、犬の散歩などをしている付近住人にも、ことさら神経を使わなければならない。

動かないこと40分。そろそろ張り込み位置を変えないとまずい…と思った時、夫が車から降りた。
車でここに移動する前は、まったく夫は警戒の目を向けてくることはなかった。
しかし、車を降りると、夫は用心深くあたりに目を向けてきた。

夫は5軒ほど軒を連ねる道に入った。
3軒目付近の家を通り過ぎる時、一瞬顔を向けたが通り過ぎ、一瞬顔を向けたが通り過ぎ、そのまま奥までいくかと思いきや、Uターンして背中を丸めるように3軒目の家に入った。
夫は警戒しているつもりだろうが、探偵たちからすれば、かえって怪しい行動だと失笑しか誘わない。約2時間後夫は人目を忍ぶように出てきた。
翌朝、この家を内偵する。ランドセルの女の子が出てきた後に、女性が下の子を連れて幼稚園バスまで送りに行った。
その後一週間にわたりその家の付近で張り込みを続けたところ、3回同じようなパターンで夫はその家に足を運んだのである。

後日の素性調査で、その家の女性の夫は単身で中国にいることが判明。いわばダブル不倫ということだ。依頼人に報告。
妻は淡々としている。
むしろ動揺しているのは「何もない」と決めつけていた妻の両親のほうだ。
妻は、離婚するつもりは毛頭ないという。
事を大げさにするつもりはないので、女性から「黙って身を引いてもらえるよう警告と、直接手紙を渡してほしい」と託された。

後日、幼稚園バスに子どもを乗せたあと、家に入る寸前で、GKの女性スタッフ2名が女性に接触し警告とともに、妻からの手紙を渡した。
夫とこの女性の出会った背景は、レアなケースであり、プライバシーに配慮して紙面では公開できない。

本文は依頼人の了承を得 プライバシーに配慮してい ます。 写真はイメージです。 文章とは関係ありません。

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