「夫が浮気をしており、相談に行きたい」。悲痛な思いで来所した妻。「私に大事にされていないと感じたと言われた。4歳になったばかりの子ども中心の生活に不満が募ったのだと思う。共働きで私にも反省しなくてはいけない点もあるので、改善していくから相手と別れてほしいと伝えたが、相手女性のことは教えてもらえず、追及すればするほど夫の心が離れていくようで怖い。それからは朝帰りが多くなり、正直こちらの身が持たない。過呼吸やおう吐などがあり、このままではいけない…」と。

 じっくりと時間をかけて妻の心を解きほぐすことが必要と、調査の話を進めるのではなく、まずは女性のベテランカウンセラーに任せる。2時間後、カウンセラーが報告。妻がなぜそこまで夫に遠慮しているかが気掛かりだった。妻は、現在も夫と同じ会社に勤務しているが、部署もフロアも違う。夫は若手の管理職として将来を嘱望されている人物で、傷がつくことになるといけないという思いが強かった。妻には離婚歴があった。夫の浮気が原因だった。心の傷も治療できないまま、離婚後に勤め始めた会社にいたのが今の夫だった。「離婚で閉ざした心の扉を開いてくれ、何のためらいもなく結婚してくれた。夫を愛しているし別れたくない。私はいつまで夫のことを待つ覚悟が必要なのか」と涙した。

 「待っていて好転するということはほぼ皆無であり、夫に対してはれ物に触るように接するほど、夫は離れていくのではないか。真実は時に残酷な影を落とします。しかし、真実と向き合わなくては、なんの解決の糸口も見いだせない」と告げた。妻は覚悟を決めた。夫の証拠を押さえて、相手の女性が誰であるのか、まずは真実を知ると。

 調査第1日目は、夫の課の送別会という日。午後6時に会社を出た夫は、男8人女5人で駅近くの居酒屋へ。探偵も潜入して、撮影と会話をできる限り拾う。二次会は夫は参加しないことが分かった。午後9時過ぎ、居酒屋を後にして、電車通勤の夫は駅でみんなと別れて1人だけ駅構内に入った。いったんは駅の階段を登ったが、警戒しながらその階段を下り、別れたメンバーが確実に駅から離れていくのを見届けるような行動をとった。再び階段を登り始め、駅構内にあるコーヒーショップに入った。1時間経過した時、ラインの音がなった。夫はスマホを手にすると駅の東口へ通じる通路を足早で進みタクシー乗り場へ向かった。すると、見覚えがある女性…、それは、居酒屋で飲食を共にしていた女性の1人だった。2人はタクシーに乗り込んだ。探偵たちに緊張が走る。徒歩尾行チームであり車・バイクは準備していなかったのだ…。

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