マンション玄関前に1台の タクシーが停車した。降りた のは30歳ぐらいの女性。 オ トロックの操作盤を押す。赤く表示された部屋ナンバー は、「5××」。夫の部屋の番号だ。インターホンの応答なしに開錠される。夫がドアを開その女性を招き入れた。20 分ほどして、ベランダ側の明 かりが消えた。1時間ほどして部屋の明かりがつく。明かりはそのまま、間もなく2人が出てきた。そして駅東と呼ばれる繁華街へ徒歩で向かい、1軒のスナックへ入った。探偵も客を装い店に潜入。外国人ホステスばかりの店で、女性もホステスであることがわかった。依頼人である妻に報告を入れる。すると、予想し なかった事態が。
妻は娘を伴い、マンシ ョンの近くのビジネスホテ ルにいるという。夫が戻らないうちに、部屋に行きた いので付き添ってほしいと。
覚悟を決めてきた妻を止める ことはできない。 部屋に向かう。合い鍵でドアを開けた瞬間、密室にこもる湿気と熱気が体を覆う。妻は、ただ放心し たように部屋を見渡すだけ。
娘がベッド、風呂、ゴミ箱を確認する。結果は見えていた。わ ずか10分程度で退室しようとした時、妻は、おもむろに、テ レビ台に飾ってあった愛犬の 写真をバックにしまった。 翌日、妻と娘の希望で駒木も同席し、夫に事実を突きつけた。
最初はかたくなだっ夫も、裏切りを認めた。気持ち入れ替えると懇願 した。 妻と娘は咎めること なく夫を許し た。 後日の調査で、その女 性は中国人で、日本人と実態 のない結婚をしていることが判明した。
それから、3ヵ月、妻と娘は GKを訪ねてくれた。今日は愛犬を連れて皆で那須に泊ま りに行くのだという。
妻の声は明るく弾んでいた。
「夫は、 車の中で愛犬と待っているん です。なんか、駒木さんには会いづらいらしくって」と笑っ た。
「離婚が選択肢とは限り ません。 雨降って地固まると いうように、勇気を持って真実と向き合い、家族のきずな が強まることが一番なのです から」と駒木代表取締役。
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