【悲痛な思いに苦しむ36歳の妻。妻は離婚歴がある。原因は前夫の浮気。その傷を癒やしてくれたのが離婚後に勤め始めた会社にいた今の夫だった。何のためらいもなく結婚してくれたという引け目があり、夫に好きな女性ができたと告げられても、責めることができなかった。相手女性のことを追及すればするほど夫の心が離れていくようで怖かった。待つのは限界と真実と向き合う覚悟を決めた…。調査日、飲み会の後、電車通勤の夫は改札に入らずタクシー乗り場へ向かった。そこで待っていたのは、居酒屋で飲食を共にしていた女性の1人だった。2人はタクシーに乗り込んだ。探偵たちに緊張が走る…。徒歩尾行チームであり車・バイクは準備していなかったのだ】

 夫は電車通勤。最寄り駅までは自転車で往復している。毎朝子どもを保育園に自転車で送ってから出勤するのだ。建売住宅を購入したばかりで、お小遣いも少ない。タクシー・ラブホテルは考えられないと依頼人は言い切っていたため、徒歩尾行チームで調査に臨んだ。バイク・車を用意していなかった。3人チームのうち1人は、2人が乗り込んだ次のタクシーに乗り込み尾行をお願いする。こうなるとタクシー運転手の気持ちと技量に左右されてしまう。また、1人は比較的若いカップルが一般車乗降場にいたため、身分を明かして、カップルを後部座席に乗せ、探偵がハンドルを握ることができた。興味本位も手伝ってか快く協力を得た。

 タクシーで尾行する探偵と、カップルの車の探偵は無線で阿吽(あうん)の呼吸で車を前後に入れ替えながら、2人が乗り込んだタクシーを追う。10分ほど走ると、住宅街へ通じる細い路地に停車した。尾行するタクシーはそこを通り過ぎ、20メートルほど先の路肩に停車。ルームランプが照らす二人の顔を撮影する。カップルの車の探偵は、手前の空き地に車を半分乗り入れライトを消す。2人が降車した。挟み撃ちで尾行する。2人は、手をつなぎ真新しい3階建てのアパートの一室に消えた。

 探偵の1人は、車を用意するため現場を離れ、2人は、身をひそめて張り込みを続ける。終電までにはあと1時間30分しかない。終電に間に合う時間帯を過ぎた。泊りなのかという思いが心をよぎった矢先、部屋のドアが開き、夫が出てきた。女性は、夫が見えなくなるまで笑顔で手を振る。夫は通りに出てタクシーに乗り込み、最寄り駅である隣駅まで戻り自転車で帰宅した。

 後日報告。そこには相談時の涙ぐみ苦悩する姿ではなく、愛憎と怒りに満ちた妻がいた。その女性は夫の部下で隣り合わせで仕事をする妻もよく知る女性だったのだ…。

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