「疲れました」と、姉と相談に訪れた50代半ばの妻。夫はあと1年で定年。すこぶる評判がよい。しかし、実態は「外面がいいだけ」。一流大学を卒業、社会的地位も高い。妻は事情があり高校を卒業できなかった。夫は何かにつけ「おまえが悪い。教養がないやつは駄目だ!」と精神的に追い詰めてきた。妻は引け目もあり、従順に従えてきた。浮気をしていると確信があっても、別れる勇気もなく、耐えに耐え生きてきた。しかも、家計・預貯金まで管理され自由になるお金もない。
もう限界。自由になりたい。離婚したい。少しでも有利な条件で…。調査費用は姉が融通した。結果は、2人の女性と関係があることが判明。1人は同じ部署の30代独身女性。もう1人はダンススクールの50代の夫子のある女性。
報告の日。妻はまるでつきものが取れたような豊かな表情をしていた。証拠資料を手に弁護士事務所へ向かった。
モラルハラスメントとは、特殊な精神的虐待でどんなことでも相手が悪いと思わせるようにしむけること。依頼人の勇気に心から喝采(かっさい)をおくりたい。