「夫の出張を尾行してほしい」と40代の専業主婦。別に、夫の行動に不審を持った訳ではない。子どもはいないが、夫婦でフィットネスに通うなど、関係は円満であるという。じゃ、なぜ? との問いにも、「ただ漠然と行動が知りたくなっただけ」と妻。刺激のない生活へのくさびなのだろうか。「何も出てこないと思いますけど」と笑顔の妻に、不安の影はみじんもない。

 宇都宮駅から新幹線に乗り込む夫。探偵は夫の乗る車両の両脇をふさぐ。東京駅までかと思いきや上野駅で下車。するとそこには既に30代前半と思しき女性が待っていた。2人仲むつまじく腕を組み、山手線へ乗り込む。鶯谷駅で降りた2人は、何のためらいも迷いもなく一軒のホテルに入った。

 この行動で何度もおうせをしていることがわかる。待つこと4時間、出てきた2人は再び山手線に乗り込み上野駅で降りた。構内のレストランで食事をし改札口で別れた。尾行体制を2つに分け、別々に夫と女性を追った。すると「事実は小説よりも奇なり」。まさに、探偵も予想し得ない行動が待っていた。

-後編に続く-

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