「息子は元気で暮らしているのだろうか…」と、当時小学1年生の息子さんの写真1枚を大切に握りしめて女性が事務所を訪れた。息子さんは満開の桜の木の下で真新しいランドセルを背負っている。複雑な事情があって、親権を父方にとられてしまい、離れてから15年になるという。
 「離れてからは1日も忘れた日なんてありませんでした。会いたい気持ちでいっぱいだけれど、きっと迷惑になるからせめて様子だけでも知りたい」と依頼人。手持ちの情報からはおそらく福島県にいるとのことだったが、調査を進めるうちに名古屋のある商社に勤務し、現在一人暮らしをしていることが判明した。
 息子さんの元気そうな様子の映像を見せると「元気そうで本当によかった。息子の姿を見られただけでも幸せ。この先も見守り続けられれば…」と涙を浮かべていた。

 人捜しは地味な仕事だが、発見に至ったときの喜びは何にも代えがたいものがある。ご依頼人の喜びは私たち探偵の喜びでもある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です