夫婦としての長い年月は、 男女の恋愛を過去のものとし、「なれあいの家族」と化してしまう。安定から刺激への欲求に変化する。それは、ひとつ誤れば重大な傷跡を残す。これは、誰にでも起こりうる現実なのである・・・。

 

「妻は間違いなく浮気をしています。友達が車の中にいた2人を見たんです。1年ほど前も同じようなことがあり、不貞の証拠はなかったんですが、妻を追及して、もう2度と会わないと約束させました。男性のことは口を割りませんでした。」

 

「しかし、今度ばかりは、証拠をもって、相手の男性にも社会的制裁を受けさせたいのです。 まぁ、妻とは、20年も一緒にいるから、離婚するつもりはありません」と、まじめさを絵にかいたような50歳代の公務員。40歳代半ばの妻の写真を渡され話を聞く。

 

妻は夫とは対照的で、派手さと上品さを備えた美人であるのには正直驚かされた。 

 

ある日、妻が仕事帰りに職場の同僚と食事をしてから帰るというメールが、昼休みの夫の元に届いた。

 

即日、仕事帰りから妻の車を尾行する。「妻は、以前私が追及しているし、私の友人に頼んで尾行したのがばれているんです。当然尾行は失敗しましたが。その警戒度合いは相当なものです」との夫の話とおり、動きがおかしい。 

 

大型ショッピングモールの地下駐車場に入るが、降りない。10分ほどして今度はコンビニの駐車場へ入り、駐車するのかと思いきや、すぐさま反対側の出口から出た。依頼人である夫から、妻の警戒度合いを聴いていなかったら、我々でも難儀したに違いない。 

 

しかし、通常の尾行態勢で要警戒態勢としてではなく、車4台・バイク2台でチームを組んでいたため、確実に追尾することができる。

 

その後、妻の車は、車もまばらなパチンコ店の立体駐車場の屋上に止まった。間違いなくここで合流すると、探偵の勘が教えてくれる。 

 

しかし問題は、相手の車が 屋上まで来るのか、それとも妻はエレベーターを使い他の階で男の車に乗り込むのか、まったく予断を許さない。緊張の空気が現場を覆う。

 

失敗は許されない・・・。

次回へ続く

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