まず手始めに、夫が妻に相談もせずに購入したマンションの実態を探る。
8階建てのマンションの7階にあるその部屋を張り込むためには、張り込み場所の選定が最も重要となる。
玄関を押さえられる位置の選定だ。
玄関は、道路向かい側のテナントビル屋上から確認する以外に場所はない。
ここで肝心なことは、いかに気配を消してことにあたるかということ。

最近の防犯意識の高まりから、不審者と思われるとすぐ通報されてしまう。
細心の注意を払いながら、屋上に潜入し目を凝らす。
そして1時間ほど経過した時、玄関から女性が出てきた。

年は30代後半。
おそらく、 中国籍か韓国籍だろう。
かたわらにはよちよち歩きの男の子の姿も確認できる。
すると、同時刻に夫をマークしている追跡班から、夫がマンション方面に向かっているとの連絡が入る。
案の定、夫はマンションに来た。
自分で開錠して部屋に入る。
あきらかに賃貸で貸しているということはない。

想定したとおり、関係のある女性を居住させていた。
ほどなく、買い物袋を下げた2人が部屋に戻った。
15分ほどすると夫が男の子を連れて付近の公園で親子のように遊びはじめた。

夕方、夫はマンションを後にした。
帰宅するのかと思いきや、そこから 15分ほどの2階建アパートの駐車場に車を乗り入れた。
夫は車から降りない。
すると、30歳前後だろうか、この女性も日本人ではなく、やはり中国籍か韓国籍の女性に違いない。
助手席に乗せ、まっすぐホテルに入り、3時間近く過ごし、パチンコ店に入った。

夫は外泊はせずに、夜1時には自宅に戻った。
1週間、夫を徹底的にマークすると、その行動パターンが明らかになった。
会社を12時に出て、マンションへ行き、子供が学校から帰るまでそこで過ごす。
その後、例のアパートへ向かい、その女性と毎日のようにパチンコへ行く。
その内2日に1回はホテルへ行くという行動だ。

父親が入院しているのに顔すら出さない。
ここまで会社をもり立てたのも父親のおかげであるのにと思うと、探偵たちもやりきれない気持ちになる。
さらに驚くのはこれだけではなかった。
後日の素性調査でその男の子は夫の子供であり、認知していることも判明したのである。

現実を直視するにはあまりにもむごい真実が隠されていた・・・。

報告時、妻は驚くほど毅然(きぜん)としていた。
「未練はありません。覚悟を決めました。幸せな人生への転機ととらえます。」と言い残し、
事務所を後にした。
妻の明るく前向きな態度は、私たちに大いなる勇気を与えてくれた。
「現実と向き合う勇気をもつこと。これが、人生の大きな分岐点になると思います」と駒木代表取締役。

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