GKの創業以来懇意にしている弁護士からの相談。甥の妻が不倫している可能性が高いというもの。その弁護士と甥が連れ立って相談に来た。

 妻との間には3歳になる息子がいる。夫婦共働きで、夫はある工業団地で、妻は大手スーパーでそれぞれ正社員として働いている。ことの発端は、ささいなけんかだった。いつもはけんかしても2日もすれば自然ともとの関係に戻っていたのに、どうも今回ばかりは様子が違う。妻は夫の歩み寄りにかたくなな態度を崩さず、しびれをきらした夫が詰め寄ると「離婚したい。出て行ってほしい。実家に帰って」と。離婚届の用紙まで出してきた。結婚して6年。これまでにこんな妻の態度を目にしたことはなかった。息子の前で言い争いはしたくないと、夫はとりあえず家を出て友人宅に身を寄せた。

 しかし、なぜ妻が突然そういう態度になったのかまったく見当もつかない。妻の不在の日、家に入り年賀状と結婚式の座席表を照合して妻の職場の同僚の連絡先を3人メモした。その夜、その1人に連絡をとり事情を説明して何か知らないかと確認。すると、匿名を絶対的な条件として驚愕(きょうがく)の事実が伝えられた。妻は離婚歴のある一回り年上の男性と不倫していた。本人たちは気付かれていないと思っているが、歓送迎会の2次会の途中で2人がいなくなるなど、同僚のほとんどは気付いていたという。さらに、来週のシフトで同じ日に休みを取っていることを教えてくれた。

 夫には、信じられない告発だった。そして叔母である弁護士に相談した。「証拠を押さえ泣き寝入りはしない。真実と向き合う」と調査開始。妻とその男性が同じに休みを取っている日を調査日とした。午前7時50分、妻が息子を乗せて保育園へ。このまま出かけるのかと思いきや、一旦アパートへ戻り洗濯物を干すためベランダに顔を出す。張り込みしている探偵は妙な違和感を覚える。ベランダに出るドアを開放したまま中へ向かって話をしているようなのだ。するとあろうことか男性がベランダへ出て来て喫煙を始めたのである。夫からは妻には男の兄妹はいないと聞いている。昨夜から男はこのアパートに泊っていたことになる。夫を追い出してまだ1週間。大胆不敵な妻の行動には驚愕するしかなかった。それから2時間後妻と共に男は出て来た。妻の車で10分程度にある野球場の駐車場へ。男はそこに駐車してあった車に乗り換え妻と別れた。その後、男はパチンコ店に立ち寄り夕方に一軒家に帰宅した。後日の男の素性調査でそこは実家と判明。 弁護士も夫もこの事実に怒りを通り越してあきれ果てたが、今後は徹底的に追及して社会的責任をとらせると事務所を後にした。

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