「浮気の確証はある。とにかく、証拠がほしい。」と、友人を伴って相談に訪れた県北在住の30歳代後半の妻。『浮気の根拠は?』の問いに、友人(相談に同伴した)が、夫がパチンコ店の駐車場で女性を助手席に乗せるのを偶然目撃したのだという。

 家業を継いでいる夫の経理の手伝いをしている妻は、記憶を喚起した。すると水曜日の午後1時から4時の間に限って、取引先との打ち合わせと言ってほぼ定期的に夫が出かけていることに気づいた。まったく疑いを持たなかった自分自身がくやしい。

 友人夫婦が水曜日にパチンコ店で待ち伏せした。2週続けて、その女性を乗せてどこかに向かった。友人夫婦は尾行を試みるが、まったくうまくいかなかった。

 調査開始。既にパチンコ店の駐車場に女性の車は来ていた。ほどなく夫の車が駐車場に来たが、すぐには近づかない。車内で女性が携帯を手に取る様子がわかる。女性の車だけがゆっくりと駐車場を出る。警戒している。しかしそれは、探偵にとっては想定内のこと。

 駐車場外の田んぼのあぜ道に姿を隠していた追尾車両が女性の車をマークする。女性この車は近くのスーパーに入り、日用品を購入する。これは、よく妻が浮気をする場合のアリバイ作りに使われる手だ。追尾車両に無線が入る。夫の車が出たと。

 夫の車は追尾せずに、スーパーに他の追尾車両を配置させる。互いに満面の笑みを浮かべ、女性は助手席に乗り込んだ。既に、助手席のシートは深く倒されていた。パチンコ店を出る時、追尾しなかったため、夫の運転は警戒を解いたものとなっていた。そして、予定通りラブホテルへ。

 しかし、思わぬ問題が起きた。このラブホテルは、その位置造りから部屋を出る映像を撮るのが極めて困難なホテルだった。万が一、裁判となった場合でも有無を言わせず通用する証拠を手に入れたい。探偵たちの試行錯誤がはじまった・・・。

-後編に続く-

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