弁護士に付き添われてGKに来た30代半ばの女性。
某工業団地の社員400人を擁する企業に勤務している。

小柄で知的な印象だ。
夫とは、社内恋愛を経て7年前に結婚した。
3歳年上の姉さん女房で、保育園に通う5歳の娘がいる。
結婚を機に夫は他の部署に異動になった。

夫の評判はすこぶるよく、大学院を卒業しているのにもかかわらず、頭でっかちでは なく会社の野球部では中心選手として活躍している。
穏やかで、真面目、いつもたいらな人と見られている。

DVの発端は半年前にさかのぼる。
夫が携帯電話の機種変更をして、数日間無造作に置いてあった古い携帯電話。
妻は、何かを疑ったわけでもなく、無意識に携帯を手にしていた。

電源を入れ、メールの受信を見てしまった。

そこに残されたメールの内容に体が震える。
卑猥 (ひわい)な表現が飛び交い、あからさまに深い関係があることを示している内容が書きつづられていた。

メールから夫が浮気している日を推定すると、仕事で会社にいるはずの日だった。
それに加え、残されていた メールを読む社内の女性であることをうかがわせていた。

それから1時間後、夫が帰宅した。
その自然で優しい振る舞いも、偽善としかとらえられない。
不自然な対応に夫がけげんな顔をする。

夫の 執拗(しつよう)な追及に、携帯のことを話してしまった。
夫は豹変した。
子どもの前で も信じられない言葉を吐いた。

今まで見たことのない形相で妻の髪をつかみ振り回す。
「夫婦でもプライバシーはあるんだよ。ふざけんじゃねぇ」と責め立てられた。

揚げ句の果てには、「次に同じことをしたら慰謝料もらって別れるし、子どもの親権もやらねぇ。念書を書け」と迫られた。

恐怖で訳が分からない。
3日もすると 子煩悩な今までの優しい夫に戻っ た。
これが幸せなんだと言い聞かせ、子どものためにと生活を続けてきた。

いつしか私が悪いから夫が浮気したんだと思い込むまでになっていた。
これがDVの典型的なパ ターンとは知らずに。

しかし、あのメールの内容が消え去ることはなかった。
会社のパソコンの社員名簿で、メールに残されていた下の名前を検索した。

3人いた。そのうち2人は年齢も一回りも上だった。
残りは一人。
夫と同じ部署の25歳の女性だった。

どんな女なんだろう。夫に仕事と言われても信じられない。
ふさぎ込んでいると夫に責められ、無理してでも平然を装っていなければならない。

次第に精神が崩壊していく。
同僚の勧めで、DVに強い女性弁護士に相談した。
その先生は、涙を流す妻をずっと見守ってくれた・・・。

真実を暴き闘うことを決めた。
離婚を恐れない。泣き寝入りはしない。

調査開始。暴かれていく夫の真実…。

※本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。

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