「結婚したい相手がいる…」と娘から告げられたという県北に住む50代の夫婦。
娘は、県内有数の進学校を卒業後、都内の一流私立大学に合格する。とにかく英語が堪能で、英語を活かした接客業で活躍したいと、都内の外資系ホテルに就職し、最年少でフロントに抜擢された。母親が取り出した娘の写真には、清楚さと知的な美しさを兼ね備える美しい女性が写っていた。
娘が昨年の夏に、初めて結婚を前提に1年間交際しているという2歳年下の男性を連れてきた。両親は、その相手に対して、礼儀や所作なども嫌な感じはなく、悪い印象は抱かなかった。母親はとてもその相手を気に入り快く接した。父親は口数が多い感じがする事など気にかかる所があったものの、娘が幸せならと交際を認め、これまで4回は実家に泊めた。
その相手が自ら口にしたことは、「実家は鹿児島で、両親は健在。先祖代々続く旧家で、社員20人を抱える不動産業をしており、3つ上の姉は開業医に嫁いでいる。高校は鹿児島の有名進学校で、卒業業後に、アメリカの投資銀行に勤める兄の影響で、自分でも国際感覚を身に着けたいとアメリカの有名大学に進み卒業した。
卒業後、某TV局に入り、ディレクターとして活躍している。TV局近くのマンションに、叔母(母親の妹)と住んでいる。兄のコネクションとアメリカの友人との繫がりから、来年の夏までにアメリカのTV局に就職する予定で、その時は娘さんも連れて行きたい」と。
娘は海外で働くことが夢だった。その夢を実現すべく今年3月で辞表を提出し、アメリカへの渡航準備をするために実家に戻った。しかし、相手の言動に不信感が募るようになっていく。実家の父親が急死したので、アメリカにいる兄の代わりに供養・納骨・相続の件等すべてを取り仕切らなくてはならないので、アメリカ行きは1年延期すると。
娘は、ホテルを辞めてしまったこともあり、そのショックは大きかったが、夢の実現のためと相手を信じて実家の近くでアルバイトをしながら渡米に備えることに。そんな様子を見て父親は、娘は騙されているのではないという疑念が湧いてきた。
娘から話を聞くと、都内に居た時は、叔母が同居しているからと、一度も相手のマンションに行ったことはない。秘書が送り迎えをするので車はない。デート代は、どんな時でも割り勘。業界人だからと外出時は必ずサングラス…等、釈然としない交際の様子が浮き彫りになった。それでも、相手を疑いきれない娘と母親。調査開始。見栄を張った男の嘘が次々と暴かれていく…。
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