母親が息子の部屋を掃除していた時に見つけた一通の封筒。
花柄模様の封筒だった。

息子に悪いと感じながらも中を見てしまった。
女性の字で書かれていたことは…。

栃木県南から相談に来た両親。
あいさつする間もなく、その封筒を渡された。
そこには、「母の入院治療費用として、800万円お借りします…」と。
借用書のつもりなのか?

息子は32歳、独身。
地元の工業高校を卒業後、ある工場の生産現場一筋で真面目に働いてきた。
酒も飲まず、たばこもやらない。
女性と交際したこともない。

両親の相談はこのことを息子に追及したいが、真偽を見極めることもできないし、本当ならこの先どうしていいかということ。
後日、GKスタッフと息子二人だけで話し合う段取りをつける。

面会の日、息子は不安げでもなく、悪びれた様子もなく、「結婚の約束をしてますから」と前置きし、淡々と事の経緯を話してくれた。

半年前、ある風俗店に行ったという。
女性と肌を重ねたのはこれが初めての経験だっ た。

その女性に夢中になり、通い詰めて10回目ぐらいのとき、身の上話をされた。
店を辞めたいけど、母が難病で、都内の特別な病院に転院が必要で膨大な費用がかかる。
風俗はお金になるけど、体がつらい。
あなたの奥さんになれたらいいのにと泣き崩れた。

息子は、愛する彼女のために800万円を貸したのは当然のことと信じきっている。
その彼女と会っているのかという質問にも、都内の病院で母親を看病しているから会えるわけない、と言い切る息子。
だまされているのは火を見るよりあきらかだが、信じて半ば洗脳されている者に対して、頭ごなしに否定すれば、
反感を買い情報を引き出せない。

同調する役割を演じ、携帯に写した女性の顔が確認できた。
そして、息子の目を覚まさせるために、内緒で彼女の素性を調査することに。

わずかな手掛かりながら、なんとか居場所が判明。
隣県のアパートで男と同棲(どうせい)していた。
明らかに一般人とは違う危険な雰囲気をまとった男。

毎日のように二人でパチコン店に通いつめている。
母親の入院も真っ赤なうそ。
年齢も氏名もうそ。

この実態を息子に突きつければ目をさまし、場合によっ ては警察への被害届を出すことを視野に入れられると、
親とともに説明した。

しかし期待はもろくも崩れた。
「この写真もビデオも何かの間違いですよ。
彼女がうそをつくわけがないでしょ。だって結婚の約束もしてるんだから」とまったく意に介さない。

携帯に電話を入れてみろと 父親に詰められても、病院内だから電話しないように言われてると自室に戻ってしまった。
そこには茫然自失の両親と、あらためてだまされる者の怖さを知った我々が残された‥。

※ 本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。

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