神奈川から相談に来た50代の妻とその娘。
夫は大手企業の管理職として、宇都宮へ単身赴任してから1年が経つ。
妻は神奈川で教員をしてい る。

単身赴任当初は月に1~2度、妻が週末に出向き、 夫婦とも栃木での観光を楽しみにしていた。
しかしここ3カ月ぐらいは、出張・仕事などを理由に、妻が宇都宮へ来ることを次第に忌避しはじめたという。

思い過ごしなのか?
悶々(も んもん)とした日々が妻の心に付きまとう。
そしてついに娘に同行してもらい、夫のいない平日の昼間、単身赴任先のマンションへ入った。

妻は葛藤に苦しむ。 夫の室内を探索したい。
しかし妻としての自尊心がその邪魔をする。

結果的に自尊心が負けた。
ついに、憑き物にとりつ かれたように室内の隅々まで探索してしまった。

最悪の結果が待っていた。
台所食器棚の奥に、浮気をしていることを「断定するもの」が隠されていた。

体が震える。妻は疑いながらも夫を信じていた。
よき夫であり、よき父親であり、女性の問題とはまったく縁のない家庭だった。

これまでの楽しい出来事が妻の心の中で回顧する。
部屋に来なければ、疑いのままで過ごせたはず。決して確信に変わることがなかったのにと苦悩する。

妻を救ったのは娘の言葉だった。
「真実を知るべき!」だと。
この 言葉に背中を押され、苦悩は 覚悟に変わった。
「調査をして全貌を暴く!」とマンションを出た足でGKに来たのであった。

結果はすぐに出た。
調査開始2日目、帰宅した夫は身支度を変え夜7時に徒歩でマンションを出た。
徒歩15分ほどの繁華街方面に向かっている。
どのような状況にも対応できるように、徒歩で尾行する探偵の他に、車とバイクも慎重に間合いをとりながらマークする。
単身赴任という安堵(あんど)感からか、警戒の目を向けてくることはない。
夫の浮ついている空気が尾行する探偵にも伝わってくる。

すると、夫はある居酒屋前で人を待つようにしきりに携帯を確認する。
まもなく一人の女性が。満面の笑みを浮かべた夫は、手に持っていたプレゼントらしき、あるデパー トの紙袋を渡した。
東南アジア系の外国人の女性だった。

下着が見えそうなぐらい短いワンピースを身にまとっている。
夜の商売をしている女性であることは一目瞭然。
この後同伴で店に行くであろうことは経験値の高い探偵であれば容易に想定できる。
ただし 先入観は禁物だ。先入観を持つことは視野を狭めるだけでなく、臨機応変に動けなくなることを意味するからだ。
あらゆる事態を想定して準備をしなくてはならない。
店を出たらタクシーでホテルという可能性も否定できない。
2時間が経過しようとした矢先、2人が居酒屋から出てきた…。【後編につづく】

※ 本文は依頼人の了承を得て、プライバシーに配慮しています。

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