依頼人は30歳の女性。化粧品販売の店頭に立っている。気品を備えた、優しい美貌の持ち主である。
しかし、相談に訪れた彼女は、化粧も台無しになるほどに涙で頬を濡らした。

「私も悪いんです」と言葉を詰まらせた。
初秋に行われた中学の同窓会。
全クラスが対象で70名近くが集まった。
席はくじ引きで、たまたまた隣り合わせた男性と意気投合した。

彼女の夫は、県内事業所の閉鎖に伴い春から九州の事業所へ単身赴任している。
同居する舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)に気兼ねしながら子供二人を預け仕事をする。
虚しさに押しつぶされそうになる。
次第に広がる「心の隙間」。

同窓生の彼と会うようになるまで時間はかからなかった。
彼はいやな顔をせずに愚痴を聞いてくれた。
それだけで救われた。

彼女は夫を愛していたし、絶対に深い関係にはならないと決めていた。
今思えば「魔が差した」としかいいようがないと後悔する。
ある日の姑の言動が許せず、自暴自棄になり、彼女からホテルに誘った。
しかし、自己嫌悪にさいなまれた彼女は、彼に別れを告げた。
彼は納得できないと追いすがってきた。

昼夜構わずに携帯が鳴る。
着信拒否にする。
すると彼の行動はエスカレートし、彼女の仕事先にまで姿を現すようになった。
警察に相談し被害届を出そうと思ったが、お互いの家庭に不倫がばれることになったらと思うと、怖くて踏み出せなかった。

調査開始。まず、ストーカーの証拠を撮ることが先決。
仕事を終えた男を尾行する。
彼女の勤務先の駐車場へ車を乗り入れ、彼女の車から死角になる絶妙の位置に駐車する。
そして、トランクを開け何かを取り出す。
手にしたのはビデオカメラだった。
やがて、仕事を終えた彼女が出てきた。
彼女のビデオ撮影に夢中になっている男は、まさか自分が撮られているとは思わない。

彼女の車が出て10分ほどで、男の車が動いた。
向かった先はインターネットカフェ。
時間をおき、男の部屋をのぞく。
男はビデオで撮影した彼女を、カードに編集したものをパソコンで見ていた。
このパターンが2日に1回。彼女は気持ち悪いと恐怖におののく。

彼女は恐怖と戦う覚悟を決めた。
我々が撮影現場をとり押さえ、カードとビデオを押収し、念書を書かせた。
テーブル下の彼女の脚の震えは止まることはなかった…。

「悩みというものに基準はありません。誰にも話せない悩みと諦めないでください。
解決の糸口を真剣に見つけ出します。それがGKイズムですから」と駒木代表取締役。

※本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。写真はイメージです。文章とは関係ありません。

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