定年を迎えた夫。陶芸趣味仲間と京都の骨董市に行くという。妻は打ちひしがれた。連れて行ってほしい。やりきれないむなしさが覆う。夫は公務員で代々農家を営む。妻は農作業をしながら舅・姑に尽くし、必死に2人の子育てをして支えてきた。夫は外面のいいタイプで、これまでねぎらいの言葉もない。妻は片親で困出身というコンプレックスを抱えていた。妻はかけに出た。女性と行く確信はない。何度か女性問題はあったが、見て見ぬふりをした。それが生き抜くためのすべだと思った。定年後は何の心配もなく、夫婦水入らずで過ごせればと思い描いていた夢は?
調査開始。妻は夫を乗せ那須塩原駅に。上りの新幹線指定席に乗車、誰とも合流しない。宇都宮でも合流しない。東京で待ち合わせか? とその時、後部車両から席を探す同年代の女性が夫の隣へ。満面の笑みを浮かべる2人。仲のいい夫婦としか思えない。ただ集団旅行と2人だけの旅行では意味するものが違う。東京駅で仲間の合流も視野に。依頼人である妻の胸中を思うと、尾行する探偵も2人だけではないことを願った。しかし、東京駅に着いた2人は…。
-後編に続く-