時にはテレビドラマさながらの「探偵物語」が繰り広げられる。
昨年末、自転車のタイヤを何者かに立て続けに二十数回パンクさせられたという夫婦から調査依頼があった。「次の犯行日」を推理し、粘り強く張り込みを続けた結果、犯行の一部始終をビデオ撮影することに成功した。犯人は同じ団地の住人で、依頼人夫婦への「ねたみ」が動機だったという。
近所のトラブルに関係した依頼が増えている。でも警察はさまざまな事件を抱えており、そうした案件に多くの時間を費やすことは難しい。そういう時こそ探偵の出番。とはいえ、依頼の七割までは不倫・浮気などの「素行調査」。オートバイなどを駆使して調査対象者に張り付き、動かぬ証拠を追い求める。
浮気の事実がなかったとしても、それを依頼人に証明するためには対象者の動きをすべてビデオで記録しなければならない。ぶっ続けで三十時間以上張り込んだこともある。そこまでやっているからリピーターの依頼人が多いのだと思う。
最近、全国各地で探偵をめぐるトラブルが急増しており、自民党を中心に届け出制導入など法規制への動きが活発化している。
私が積極的にメディアに顔を出しているのは、責任の所在を明らかにして信頼感を得たいから。悪徳業者は絶対に許せないし、業界の健全化を図りたいと思っている。
一つの仕事を終えた時、探偵は何を思うのか。
よかれと思ってやっている仕事だが、結果が依頼人にとって本当によかったのかと思い悩む時もある。でも、どんなに苦い結果でも真実を知ることが次の一歩につながる。そう信じて頑張るしかない。