手掛かりは少ない。まず、割り出さなければならないのは、その男性の住居だ。次女の部屋に残されていた社員名簿で、その男性の特定はできたが、住所は記載されていない。幸いにも次女と男性が勤務していたのは工場ではなく、管理棟と呼ばれる2階建ての建物であり、男性の顔を視認することができる。娘が体調不良で送り届けてくれた時、母親と長女はその男性にあいさつし顔を見ている。工場だったら、顔の判別は不可能に近い。工業団地にある管理棟の出入り口を確認できるのは、道路向かいにある公園内のごく限られた場所しかない。始業前と退社後、すべての出入りする人物の映像を撮影して、母親と長女が確認。ついに、その男性が判別でき、使用する車を尾行して単身赴任先のアパートが判明した。 翌日からそのアパートの玄関側とベランダ側を張り込むが、次女が部屋にいる様子がない。真夜中に訪ねて来る可能性も否定できない。張り込みを継続し朝になった。すると、朝5時に男性が家を出た。早すぎる…。何かあると尾行すると、男性の向かった先は会社に近い短期賃貸型の家具付きのアパートだった。そこには、次女の車も停まっていた。8時になると男性を送り出す娘の姿が見えた。男性は、週に3回、出勤前や退社後、娘の住居に立ち寄り、時に泊まっていた事実をつかんだ。妻子ある二回り年上の上司と不倫関係。さらには、この調査期間中に、次女の退職願いが出されたこともわかった。母親と長女に報告。この事実を現実とは受け止められない母親。次女に怒りをあらわにする長女。現在はGKのカウンセラーを介して最善策を検討中である。