弁護士から紹介を受けた20代後半の妻。幼稚園に通う子どもがいる。見た目も、話し方や所作にも知性と品格が漂っている。冷静さを保とうとしている姿が痛々しい。夫は中学の同級生。中学の時は特別意識したこともなかった。記憶に残っているのは、夫の両親は共に教職で、本人も超がつくほど真面目、成績だけは常にトップクラスだったことぐらいだ。

 中学を卒業して7年、大学卒業後、就職した会社が一緒だった。研修期間で急に親近感が増し交際が始まった。真面目さは中学の時と変わらず、交際したのは妻が初めてだった。25歳の時に結婚し、妻は会社を退職して子ども向けの英会話教室を始めた。

 しかし、子どもが生まれてから夫の本性が浮き彫りになってきた。極度のマザコンだった。母親の言いつけが何よりも最優先。母親に言いつけられれば何があろうと真っ先に駆けつける。一度、夫が夜に実家に呼ばれた時、子どもが熱を出したことがあった。連絡しても母親の体調がすぐれないからと、帰って来ないという信じがたい現実を突き付けられた。何につけても母親ならこうするとか、こう言動も増えてきた。何か気に入らない事があると地団駄を踏んで、子どものようにだだをこね、年上の妻が良かったとまでうそぶく始末。

 極めつけは、妻に何の相談もなく、転職してしまったことだ。それも、実家から自転車で通勤することができる医療機関だった。さすがに我慢できずに詰め寄っても、「母親にはよく相談して決めた事だから…」と取り付くしまもない。それから3年、子どもの成長だけを楽しみに、姑に対しても、言いたいことを飲み込んで生活を続けてきた。自分でも良くやってきたと自負していると涙が頬を伝った。

 そんな中、ここ半年夫の言動と態度が急変した。わざとけんかを吹っ掛けるように。耐えていると、「おまえといると息が詰まる!」と3ヵ月前に実家へ帰ってしまった。舅・姑も何も言わない。しばらくして、落ち着いたら帰るという連絡があっただけ。しびれを切らした妻の両親が実家に行っても本人は出てこない。しまいに、こうなったのは嫁が夫の事を理解していないからだと信じられない言葉がでる始末。妻は精神的にも疲弊し心療内科に通うはめになってしまった。

 次第に離婚もやむを得ないとの気持ちになり、医師の勧めもあって弁護士に相談に行った。弁護士からは念のために調査をしたほうがいいと助言されGKを訪れた。調査開始。すぐに結果は出た。不倫している相手がいたのだ。そこには、舅・姑とグルになった信じられない夫の行動が。さらに相手の女性は…。事実は小説より奇なりという結末が待っていた。

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