【さまざまな報道によると、見知らぬ人と交流できる「サイト」を利用して、
事件に巻き込まれる18歳未満の少女が増えているという。
特に「神待ちサイト」と呼ばれるものは、家出したい、また家出している少女を狙っているものだ。
警察庁のまとめでは、今年半年に保護した人数は昨年より約90人多い600人。
犯罪種別では、淫行など青少年保護育成条例違反が50件増の約400件、児童買春が約90件増の200件超となっている】

7月の中旬、隣県に住む夫婦が相談に来た。
高校2年生の二女が家出をして行方が分からないという。

少女の写真の印象は、非行とは無縁な地味で真面目を絵に描いたような少女だった。
警察に届けたが事件性はないとして真剣には向き合ってくれないと憤る。

それもそのはずだった。
話を手繰り寄せていくと、5月にも家出をしていた。
その時は、5日で帰宅し娘を連れ警察に説明に行った際、かたくなに口を閉ざし、一切口を開くことがなかった。
つまり、「家出の常習」「警察に対し非協力的」と位置づけされてしまったのだろう。

さらには、家出・失踪も年間約10万件もの届出がある。
警察も動ききれないのが現状だ。

ここで肝心なことは、家出の背景を把握することだ。
両親は、親友とのとのいさかいしか思いつかないと頭をひねるが、話を聞く中で少女の痛みも少なからず見えてきた。

両親は、ともに大学で教鞭を取る厳格な教育者。
一回り年の離れた兄(長男)は勤務医。9歳上の姉(長女)は歯科医という家庭。

少女本人も県内トップクラスの女子高に入学したものの、両親は無意識のうちに兄姉と比較してしまい、
少女は心に傷を重ねていたのだろう。

ちまたでは、女子高生に関わる事件が後を絶たない。
何としても探し出し無事に保護すること。
それが我々に課された使命だった。

7月の初め。
学校へ行くといつも通り最寄り駅まで自転車で家を出た後、消息を絶った。

自転車は駐輪場に置かれたまま。
携帯は部屋に置かれていた。所持金は1万円。
部屋を探索するが、目ぼしいものは出てこない。

手紙や雑誌のひとつもなく、あるのは参考書の類いばかり。
勉学に励む真面目な少女という背景しか見えてこない。

手掛かりはないのか・・・とあきらめかけていた時、衣装ダンスの籠の中に、A社の多機能携帯音楽プレーヤーの透明な
アクリル製の空き箱を見つけた。

これが重要な手掛かりになると確信する。
我々GKは、これまでテレ番組の人捜しで名をはせた探偵。
プライドにかけて少女を見つけ出すと誓った…。
しかし、見えてきたのはネット社会の弊害、いや功罪ともいえる現実だった…。

※ 本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です