
「弁護士からの紹介で‥」栃木県東に住む30代の妻。
小柄で、ショートカットが似合う。
小気味いい話しぶりが印象的だ。
赤いセルフレームが目の強さを印象づける。
夫は大手企業の管理職をしている。
夫には、離婚歴がある。
10年前に会社の同僚と職場結婚をしたが、舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)との折り合いが悪く、
わずか半年で嫁が家を出た。
妻にも離婚歴がある。
大きな兼業農家に嫁いだが、子どもができないことを姑になじられた。
夫はかばってもくれず、嫌気がさして、3年間の結婚生活にピリオドを打った。
それからすぐに派遣会社に登録して、夫の職場に派遣されてきたのが、依頼人である妻だった。
同じ境遇もあってか、2年前に夫と再婚したのは自然の流れだったという。
前夫は気が弱い半面、酒を飲むと暴れた。
そのせいか、今の夫は酒が好きじゃないから結婚したという。
その夫が変わった。
めったに飲まない夫が、去年の夏、スマートフォンを手にしてからというもの夜のみならず、
休みの土日も頻繁に家を空けるように なっていったという。
そしてある日、夫が酩酊 (めいてい) し深い眠りについた時、妻は自責の念にかられながらも、
そのスマートフォンを手にしてしまった。
すると、SNSで知り合ったとされる女性との赤裸々なやり取りが残されていた。
その中には、密会場所として夫がアパートを契約したという内容もあった。
フォトフォルダを開けてみると、そのアパートらしき部屋で、女性が枕を抱いて寝そべっている写真もあった。
妻は、ショックというより、まるで無防備な夫のゆるさと、メールで使われていた絵文字や幼稚な言葉の表現などに、
一気に夫に対する気持が興ざめした、と何かが吹っ切れたように淡々と話す。
そこには、 夫に対する恨みとか女性に対する嫉妬ではなく、これからの人生を見据えた強い人間としての妻が構えていた。
そして、メールの内容から写真まで、証拠になりそうなものは全てデジカメに写し弁護士に相談した。
しかし、これだけでは浮気つまり不貞の証拠としては立証が難しい、密会場所の出入りを押さえることが必要と、GKに来た。
調査日は忘年会イベントである管理職のゴルフの日とした。
妻は、この日を調査日と決めた理由をこう語る。
「これ見よがしに、忘年会のスケジュールをテーブルに置いて身の潔白をアピールしている」と。
ゴルフ場から夫の車を尾行する。
宇都宮市郊外の中華料理店。
探偵も潜入すると、奥の広間でゴルフの成績発表をしている。
20分後、 夫が携帯を耳に当てながら店外へ出てきた。
依頼人に確認しても夫からの電話はないという。
間違いなく密会する。
夫のにやついた顔がそれを証明していた‥。
※ 本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。