
■行方不明者の保護の御礼
宿泊機関、コンビニ、ガソリンスタンド、インターネットカフェ等の皆さま、
かねてより捜索を継続してきた、「W さん(35歳男性)」を9月30日、有力情報をいただき
無事県内の山中にある境内の駐車場で発見、保護することができました。
宇都宮市内はもとより、県内の関係者の皆さまには多大なるご協力をいただきましたこと、
紙面をお借りして心より御礼申し上げます。
発見、保護のご報告ですが、捜索に関わる写真入りの手配書を約400枚配布、数が数だけに
思うようにご報告と御礼が行き届かなかったこと、心よりおわび申しあげます。
本人のその後ですが、当初はかなり衰弱し精神的にも疲弊していましたが、命に別条なく、
ご両親の支えで日常生活を取り戻しつつあります。
■責務
このような案件は、「なぜ、失踪がおこったか?」について、皆さまに知っていただくことが
捜索に関わったわれわれの責務だと思います。
■孤独との闘い
Wさんは、ある会社の営業マン。
一人っ子で学生時代 は成績もよかった。
大学を卒業してUターン就職。 好きな雑誌編集とカメラマン兼用の仕事に毎日が充実していた。
大きな体とは対照的に気が弱く、まじめ、実直で不器用だが、好きな仕事にまい進してきた。
しかし、その雑誌社が突然倒産。
ここから、Wさんの人生の歯車が狂い始めた。
親に負担をかけたくないと職を転々。
だが、お金のためには仕事の好き嫌いなど言っていられないという強靭 (きょうじん)な精神力は持っていなかった。
何度も挫折を味わい、そのたびに両親が後始末をした。自分を変えなければと、お寺への長期の逗留(とうりゅう)も経験した。
そんなとき、募集広告を見て就職できたのが今の会社だった。
営業の仕事だったが、頑張れる気がした。
決して成績を伸ばしていく優秀な営業マ ンとは言えないが、朝早くから夜遅くまで自分なりに頑張ってきた。
何かと陰になり応援してくれていた創業者会長の期待に報いたいと、必死で働いてきた。
入社3年目、何とか実績をあげようと孤独と闘いもがいてきた。
家では親に心配をかけまいと努めて明るくふるまった。
しかし、表向きとその裏にうごめくやる気と挫折との乖離(かいり)は、相当根深いものがあった。
保護した後、しばらくはその背景を語ろうとしなかった。
顔が引きつり大粒の涙を流すだけ。
なにか言いにくい理由があるのかと 根気よく口が開くのを待つ。
そして彼から出た言葉は、会社に対して顧客の信用を失墜させてしまうような大きなことだった。
情けない自分に涙が枯れることはなかった。相談する友人もいない。
もうどこにも戻れないと消息を絶った…。
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