【ETC明細から夫の不審な行動が明らかに。
問い詰めると夫婦間にもプライバシー があると怒鳴り散らし家を出て行った。
家に帰らない夫と話し合いたいと、何度勤務先に足を向けたかわからない。
無邪気に遊んでいる子供の笑顔だけが唯一の救い。
調停で夫婦関係の修復をのぞんだが、修復どころか夫は妻の「非」を 作り上げた。
夫の社会的地位と饒舌(じょうぜつ)さに調停委員は夫の味方になった。
口下手な妻の訴えは聴きいれてもらえない。泣き寝入りはしたくない…。】
調査当日。
職員通用口の2カ所を固める。
終業時刻とたがわずに夫は出てきた。
夫は予想に反して車を使わず、徒歩で役所を出た。
急遽、調査車輌に同乗させていた女性スタッフとカップルを装い、徒歩尾行に切り替える。
併せて、迎えの車に乗られた場合の準 備として、車輌とバイクに間合いを詰めさせながら慎重に 追尾させる。
職場を出て10分、夫は県道沿いの大型書店に入った。
これといった目的もないように 店内を徘徊(はいかい)する。
すると、ほど なくして夫の 携帯にメール の着信音が。
夫は携帯を開くわけでもなく、決めら れごとの合図であったかのように出口へ向かう。
そして女性の運転する車に乗り込んだ。 車は郊外のレス トランへ。
店内へ潜入し2人 の関係性を少しでも手に入れるため会話に耳をそばだてる。
女性は夫と同年代の地味な女性だった。
依頼人である妻が一回り年下であるせいか、随分と老けているように 見えてしまう。
2人の雰囲気は、とりたて て熱い関係のようには感じ られないが、その自然な立ち 振る舞いとさりげない笑顔 は、
旧知の間柄のような空気を漂わせてい る。
結局なん の関係性も見い出せないま店を出た車を追う。
行き着いた先は 短期賃貸型のアパート。
当然であるがごとく2人は部屋 に入った。
午前0時をまわったころ、電灯が消えた。
週の半分はこのパターンだった。 ただ探偵たちには、暗く重い影がのしかかった。
それは、後日実施した女性の素性 調査の結果である。
夫とその女性の関係は、衝撃的なもの だった。
妻も、これが公にでもなったとしたらと思うと、 怖くて調停にも持ち込むことも躊躇(ちゅうちょ) してし まった…。
結局、妻は浮気 がどうのこうのではなく、 修復する気も失せてしまい、離婚の道を進んでいる。
「誰でも、自分だけはトラブルとは無縁だと思って暮らしています。
いろいろな不幸が巷(ちまた)にはあふれているけれど、まさか自分がその当事者になるとは思っていません。
形式や先入観にとらわれたとき、物事の本質を見失ってしまうのです。
そうならないように、お役に立つことが私たちの使命なのです」と駒木代表取締役。
※ 本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。