1カ月ほど前のこと。
突然の相談者が訪れた。
40代半ばの男性で、仕立てのいいスーツと高価な革靴と時計は、サラリーマンではないことを証明している。

相談内容を訊 (き)いても、反対に弊社を信用できるのか否かを言葉を選びながら慎重に質問を投げかけてくるのが分かる。

相談者は、都内でアパレル関係の会社を経営する人物で、妻子ある身だ。
相談者の苦悩は半年前にさかのぼる。

テナントを探していた時、担当した不動産会社の25歳の女性と恋に落ちてしまったという。
正直、相談者はこれまで数多くの女性と遊んできたが、心を奪われることなどはまったくなかった。
当然彼女も例外ではなかったと振り返る。

しかし、彼女から彼氏ができたと告白された途端、頭が真っ白になった。
それも結婚前提で交際していると告げられた。
情けないほどにうろたえた。

急激に女性がいとおしくなり、嫉妬に身を焦がすようになった。
しかし、交際当初から離婚は絶対にできないと宣言してきた。
彼氏と別れてほしいとは到底言うことなどできない。

そんな背景の中で、苦悩の相談者は彼女に提案した。

「離婚はできないけど、マンションを買って、すべて経済的に面倒をみる。 子供ができたら認知するから彼と別れてほしい・・・」と、
都合のよい説得を試みる。
しかし彼女は「結婚はしたい。愛しているのはあなだだけど、宇都宮の実家は代々農業を営む旧家であり、親族も多い。
こんな関係は認められるはずがないし、親・ 兄弟と縁を断ち切るほどの勇気はない。
離婚してくれたら、あなたと一緒になりたい。今年のクリスマスイブまでに結論を出して」

化粧も消えるほど泣き濡らす。
そんな人生最大の恋路の分岐点に、離婚すべきか結論を出したいというのが相談内容だった。
調査内容は、彼女が宇都宮に帰省したときの行動と、彼女が言うことが本当なのか、実家の素性調査、
そして、彼氏の素性調査をしてほしいというものだった。

本音を言えば、区切りをつけることができるのなら、調査をしてあげたい。
しかし私達は、不倫の手伝いをすることは倫理的に絶対にしてはいけない。
著しいプライバシーの侵害になる。

相談は優に3時間を超えていた。
「数多い悪徳探偵業者であれば相談者の足元を見て法外な料金で仕事を請け負う場合もあるでしょう。
しかしGK はできません。
これまで調査を依頼してくれた1千人以上の想いを背負っているのですから」と駒木代表取締役。

【後日談】相談者からのメー ル「相談したら気持ちのスイッチが切り替わりました。悩んだ日々は何だったのだろうかと不思議なぐらいです。
彼女と別れ、より妻がいとしくなりました。」

※ 本文は依頼人の了承を得てプライバシーに配慮しています。

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