【不倫のルールが逸脱され始めた。彼の執拗(しつよう) な行為がエスカレートしていく。
真夜中の電話。誹謗中傷 (ひぼうちゅうしょう)のメール。勤務先や自宅廻りを徘徊する。
逢わなければ旦那にばらすとまで脅された・・・】
基本は、身の危険を回避するためにはストーカー規制法に基づく、被害届を警察署に出すことだ。
しかし彼女はかたくなに拒否をする。
もし、夫に発覚したり、逆恨みでもされたらと思うと、その恐怖が先立ってしまうからだ。
彼女の依頼は、彼を犯罪者にすることではない。
ただ、平穏無事に安心して生活できるように、彼に身を引いてもらうことだけだった。
彼女から、彼の素性を聞き出す。
彼は有名私大の修士号を持つ自動車メーカーのエンジニアだった。
そこでまず必要なことは、彼に最も影響力のある人物を特定することだ。
これは、彼の行為を断ち切らせるため、アキレス腱ともいえる人物を把握しておくことで歯止めをかけるのだ。
内偵を行い、その人物は上司の部長であることがわかった。
警護・調査開始。
GKは警備業 (ボディガード)の認可を受けている探偵事務所であり、すなわちボディードと調査を同時にできるという利点がある。
まず彼女が安心して通勤できるよう、車2台でシークレットボディーガード(対象者に気づかれないように、接近しないで警護すること)と、
彼を尾行する追跡班に分かれる。
彼の会社が休みの木曜日、閑静な住宅街を見張る。
10時過ぎ、私服で車に乗り込んだ。
彼の車を尾行する。 自宅からまっすぐに向かったのは彼女の家。
彼女の車がないことを確認してから、その足で彼女の勤務先へ向かい、彼女が借りている月極駐車場を徘徊して車を降りた。
彼女の車に近づき、車内中を異様な目つきで覗き込んでいる。
するとほどなくして彼女から電話が入った。
今、彼からメールが来たという。
「昼休みに○○に来いよ!」というもの。その場所は、交際していた時に何度か利用したことのあるラブホテルだった。
一気に片を付けてしまうことが得策と判断し、彼女には午後休暇を取ってもらい、 メールで「わかりました」と返信するように指示する。
追跡班から彼がホテルの駐車場に入ったとの連絡を受け、スタッフが彼女の後部座席に身を隠し、彼女の車を隣につけた。
そして彼が車から降りたところを後部座席にいたスタッフが降車して対峙する…。
その後場所を移し話し合いを持つ。
彼は結果的に自分の罪をすべて認めた。
部長の存在を把握していることが決め手となった。
被害届は出さずに、解決をみた…。
1週間後。依頼人の笑顔を初めて見た。
「依頼人を救いたい。それだけです」と駒木代表取締役。
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