【嫁とその両親が、精神的に疲弊していて息子としばらく別居をしたいと訴えてき た。
嫁は結婚後、夫の両親と距離を置きはじめ、特に子供が生まれてからは極端に夫の実家を忌避し、子供も両親に会わせない。
息子も、私たちも我慢した。嫁とその両親の見下した態度に我慢し続けてきた】
子供を幼稚園バスに乗せてから帰るまで、妻が自由になる時間帯を張り込む ことにした。
しかし調査開始から、5日すぎてもスーパーに行くぐらいで何も怪しい動きはない。
夫とその両親に報告する。
夫は、何もないんだから・・・と調査の打ち切りを示唆したが、どうしても両親は納得ができない。
そこで、「子供がいる時間帯は…」という先入観は捨てたほうが良いと、再度調査プランを検討する。
そして、子供のいるいないに関係なく、夜中の12時まで張り込みを続けることになった。
結果は初日に出た。
両親の執念がそうさせたかのように、張り込みを続けていた夜10時半。
暗闇の中を背の高い男が勝手口から自宅へ入っ た。
赤外線を使いその風貌を撮影する。
夫とは対照的な男で、痩せていて、世間 一般でいうところの真面目とは対照的な人物だ。
ほどなくして、2階に上がる階段の照明が点灯し、窓ごしに2階の部屋へ向かう男と妻の姿が確認できた。
経過を夫の両親に報告し、 男が出てきたら尾行してその家をつきとめ、その素性を割るためこのまま張り込みを続けるはずだった。
しかし、怒り心頭の両親は、息子である夫と近所に住む親族数名を引き連れて、張り込む場所まで来てしまった。
どうしても乗り込みたい。
1階に寝ている子供を連れ出し、現場を押さえたい。
あの嫁のことだから現場を押さえないことには、後で証拠を突きつけても、逆切れして、言い訳を突き通すに違いないと言い切る。
しかし相手の男が何者であるかもわからないし、 どんな危険が潜んでいるか知れない。
万が一にでも刃傷沙汰にでもなったらと説得するが、その怒りは止まらない。
そこで探偵ではなく、警備業に切り替え探偵の2名もボディーガードとして一緒に踏み込むことにした。
防刃ベストを両親に着用させる。
踏み込みには猶予はない。
もしかしたら法に違反するかもしれない。
しかし状況次第では自分の立場や法よりも依頼人のためにできることを優先する。
この覚悟なくしてGK の探偵にはなれない。
気配を消して勝手口に到達する。
夫が持つ合鍵でドアを 開け、そして一気に2階へ駆け上がり現場を押さえ、その間に、夫の母親が1階から子供を連れ出した。
妻とその男は同衾(どうきん)していた。
衝撃の光景に現場が凍りつく修羅場が待っていた。
この先は、とても紙面では書くことができない。
※ 本文は依頼人の了承を得て、プライバシーに配慮しています。