「妻が家を出た」と群馬県太田市に住む40代の夫。夫は従業員3人の町工場を経営していて、中学生と小学生の子どもがいる。妻は結婚以来、経理事務を切り盛りしてきた。しかし、この不況下により社員1名を解雇、夫が妻の仕事を引き継ぎ、妻は少しでもお金を稼ごうと外にきに出た。

 「外に働きに出したのが間違いの始まり」と後悔する夫。まず、妻の所在を捜さなければならない。夫から聴取し手掛かりをもとに調査を開始した。

 調査開始から2週間を過ぎようとしたころ、ようやく妻の潜伏先の情報をつかんだ。それは、町外れの細い路地が入り組んだ奥にひっそりと建つ老朽化した2階建て木造アパート。よりによって、とても張り込むことが不可能な場所だった。やむを得ず、近所の住人に事情を説明し了解を得て、庭先を借りて張り込む。そのアパートの住人は、すべて外国人の男性ばかりで、独特の雰囲気が立ち込めている。

 果たして、ここに、妻は潜伏しているのだろうか? 張り込み2日目の午後1時すぎ、ある一室のドアが開いた。外国人男性の後ろにもう1つの人影が見えた。

-後編に続く-

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です