GK探偵事務所 宇都宮 素行調査密着レポート ー後編ー

嫁の不信 ー後編ー

 嫁の行動に不信感、真実を知りたい!依頼人は二世帯住居に暮らす60歳代の親(しゅうとしゅうとめ)。子どもが幼稚園に入ったのを機に勤めはじめた嫁の行動が、どうもあやしい。帰宅時間が遅く、休日も不定。しかし息子は関心がないのか、追求する様子もない。親として真実が知りたい…そんな依頼を受けたGK探偵事務所。さっそく調査を開始した。そして、調査4日目… ―前編―から

●動き出した対象者

 「こういう清楚な感じの女性が危ないんですよ。私の勘が当たらなければいいんですが…」とGK探偵事務所所長が手にした対象者の写真。そこに写っていたのは、今回の対象者、嫁のA子。化粧は控えめ、どこにでもいるような30歳代の女性である。そのA子は、勤め先のいつもの駐車場へ。すると、社員通用口とは反対方向の道路向かいのファミレスに小走りで向かう。そして、一台の車に向かい手を振る。車から一人の男性が降りる。「これだ…」所長がつぶやいた。「経験上、不倫に走る男女とは、いかにも遊び人風の人ではなく、どこから見てもごく普通の男女が多い。これが現実です」

 男性はA子に満面の笑顔を見せ、店内へ。どこから見ても幸せなカップルそのものである。小太りでカジュアルな装いの男性は35歳前後。その優しそうな笑顔に、不倫の後ろめたさは微塵もない。食事を終えて車内に戻った二人は、車の中で抱擁、そしてキス。日中の明るいパーキングでのラブシーンに、見ているこちらがドキドキする。約2時間の逢瀬の後、A子は何喰わぬ顔で帰宅。この日の二人の様子は調査チームがすべてビデオに撮影した。これで嫁A子の不倫は疑惑から確信となった。確定、調査終了……しかし、探偵の仕事はそんなに甘いものではなかった。

●真実を知るために

 冷静に二人の様子を見つめていた所長が、小首を傾げている。「男性の心理としては、時間を惜しんで二人きりの空間で親密な関係を持ちたいと思うはず。車内でキスをしてそのまま別れたのは、近日中にゆっくり会う約束があるからではないのか」。不倫でも、デートをしてキスを交わす程度の付き合いと、深く愛し合っている場合とでは、対処の仕方が違ってくる。関係の深さや相手の生活の状況など、さまざまなことを見極めなくては、依頼者が納得する報告書は完成しない。真実を知るために努力は惜しまない、それがGK探偵事務所のポリシーである。「ここで終わらせてはいけない」、そう言わせたのは探偵の勘。さっそく翌朝、調査チームは男性の自宅を張り込んだ。

●思わぬ展開に即応

 朝8時。スマホを手に男性が玄関から出てきた。仕事に行くような格好ではない。と、その時、1台の車が…対象者A子がやってきたのだ。動きがあると予測していたとはいえ、想像以上の急展開。調査員に緊張が走る。A子は車を男性の自宅敷地内に駐車し、男性の車の助手席へ。そして二人は隣の県の大型ショッピングパークへと向かった。

 尾行を続ける所長は、無線でチームに指令を送り女性調査員を配備。人が少ない早朝のショッピングパーク内を男性調査員がうろついては怪しまれてしまう。駒木社長が女性調査員とカップルを装い、セカンドバッグに仕込んだ機材で二人の姿をビデオに収める作戦だ。本人はもちろん、周囲にも気付かれないのが素行調査の鉄則。どん状況変化にも即応するGK探偵事務所のキャパシティ。これができる探偵事務所がどれだけあるだろうか。

 そしてショッピングを楽しんだ後、二人を乗せた車は真っ直ぐにラブホテルへと向かった。

●見えてきた真実

 後日、出来上がった報告書を前に、所長は安堵の表情を浮かべていた。報告書には二人が会う頻度や男性の素性など、驚くほど多くの情報が記載されていると所長は言う。実は相手の男性には2度の離婚経験があり、いわば不倫常習者であった。

 「A子はクロ。ここまでやって、ようやく依頼人に真実が報告できます。私は、報告書を軽んじてはいけないと常に肝に銘じて仕事をしています。その内容が、人の人生を左右することもあるということを忘れてはいけません。報告の後、依頼人がどうするかは依頼人の判断次第ですが、よりよい人生を選択するために、真実を知る必要があるんです」と所長。さらに今回の調査を終えて「最近、こういう親からの依頼が増えています。家庭の問題に真剣に向き合おうとしない男性が増えているのは悲しいことです。雨降って地固まるというのが理想ですが、雨が降っても見て見ぬ振りをしてしまう人が大勢いる。その犠牲になるのは子どもや家族なんです」と、男性の意識変化への警告を口にした。真実から目を背けてはいけない――その熱い思いを胸に、今日も彼は現場へと向かう。真実を伝えるために…。

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