「夫が不倫している。もしかしたら中学の同級生かもしれない」と、相談に訪れた40代後半の妻。実は妻も中学の同級生。結婚して以来厳しいしゅうとめに耐え、病弱なしゅうとにも懸命に尽くしてきた。夫は息子にも妻にも本気で向き合ったこともない。もし事実なら絶対に許さない。
 調査開始4日目、出勤するはずの夫の車は、会社へ向かわずある河川敷の公園駐車場へ。程なくして隣に駐車してきた車から同年代の女性が降車、夫の車の後部座席へと身を沈めた。向かった先は隣県のショッピングセンター。腕を絡ませ顔を寄せ合う。その後2人はホテルへ。妻の希望で女性の顔をスマホに送信した。予想通りの結果だった。妻も知る中学の同級生だった。
 報告の日、妻は成人した息子を連れてきた。既にアパートを契約、2人で暮らすという。もう家に帰ることはない。手紙を残して家を出た。涙を見せるどころか、まるでつきものが落ちたように母子は笑顔を見せて事務所を後にした。

 我慢することが美徳だとは思わない。我慢と忍耐とは違うものなのだから。

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