8月某日、午前1時の電話。埼玉県A市に住む 33歳夫からの悲痛な相談。内容は妻の不倫。今年4月に仕事に復帰してから、夜の外出が増え、常にスマホを持ち歩き、ロックをかけている。タンスの奥には、派手な下着が隠されていた。また、何かにつけてけんかを仕掛 けて来るような言動が多くなり、妻の行動が怪しいと思い始めた矢先、唐突に「離婚したい」と言われたという。 

 夫は、罪悪感を抱きながらも、自宅内にICレコーダーを仕掛けた。そして驚くべき事実が判明した。それは不倫相手の子を妊娠して6週目だということ。不正出血があり一緒に婦人科に行くという。夫婦には3歳と1歳を過ぎたばかりの2 人の女の子がいる。夫はレントゲン技師、妻は臨床心理士で病院に勤務していた時に知り合い、結婚した。妻は隣県の出身。 

 夫とは翌日に面談した。目鼻立ちが整ったいわゆるイケメン。礼儀正しく優しさがにじみ出ている好青年。写真の妻も容姿端麗、 女優・アナウンサー並みといっても過言ではな い。 夫がICレコーダー に録ったものを確認すると、妻が相手の男性に離婚を迫っている事や子供を産むという強硬な態度が見て取れた。男性がへきえきしている様子や、ことが発覚するのを相当恐れているのが分かる。つまり、妻は妻子のある男性と不倫したあげく妊娠し、その男性に離婚を迫り、子供は産むというやり取りが記録されていた。話をする夫の涙が止むことはなかった。夫の心の痛みは計り知れない。その痛みを享受し調査が始まった。 

 一緒に産婦人科に行くという日、夫は予定どおり8時に自転車でアパートを出る。それから15分後、妻は子供2人を保育園に送り9時前に帰宅。 夫の話では、近くのスーパーの2階の駐車場へ男が迎えに来るとのことだったため、そこにも探偵を張り込ませ、尾行に備える。すると、予想に反して10時30分、アパートの駐車場に他県ナンバーの車が停車した。この車が怪しいと思ったとたん、化粧を施しワンピースに身を包んだ妻が助手席に乗り込んだ。男が相当警戒の目を向けて来ることを想定し、車2台とバイクで慎重に尾行する。 最も注意を要するのは、信号で停車した時にすぐ後ろにつかないことと、信号の変わりばなに見逃さないことだ。 

 車は国道に出た後、渋滞を回避するため、住宅街のわき道をすり抜けていく。行き着いた先は、車で30分ほどのレディースクリニックだった。妻だけがクリニックの扉をくぐる。すぐさま出てきて、再び車に乗り込み発進。受付を済ませたのか、その後、近くのコーヒー店に入った。夫から電話が入り一通り行動を説明する。そこには驚がくの事実が。こ のクリニックは・・・。

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