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深夜、彼の免許証の住所の家に向かう。150坪ほどある大きな敷地で、車が4台止められている。依頼人の情報にあった彼の車も止まっている。

朝7時過ぎ、60代の女性とその彼が玄関から出てきた。彼の手にはお弁当と携帯用のポット。向かった先は工業団地内にある工場。そこは依頼人が彼から聞いていた勤務先だった。

夕方、仕事上がりの彼を尾行すると、向かった先はパチンコ店。2時間ほどで帰宅。清掃会社へのバイトはうそ。

次の日曜に再び張り込む。11時頃その彼と連れ立って20代の女性が出てきた。向かった先はリサイクルショップ。

探偵も潜入させ、何を探しているのかを探る。すると、ベビーカー等、赤ちゃん用品ばかりを見ていた。無線で、その様子を出入り口を見張る別の探偵に報告。

その探偵は一瞬を見逃さなかった。それは、女性が自分のお腹をさすった瞬間と彼がお腹に手を当てた瞬間だった。その後も調査を継続。すると彼の偽りが明らかになる。離婚はうそ。

60代の女性は妻の母親。彼はいわゆる「マスオ」さんで、他に妻の父親と妹と同居していることが判明。妻は妊娠4ヵ月である事実もつかんだ。

つらい報告になった。依頼人のおえつはしばらく続いた。そして意を決したように、顔を上げた。「踏ん切りがついた」と。好きゆえに疑いを持ちながらも付き合ってしまった自分も悪いと。

その依頼人を見送るとき、1日で早くも笑顔が戻ってくることを願わずにはいられなかった。

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