長男の交際相手のことで相談に来た代の母親。20年前に夫と死別し、息子2人を女手一つで育てあげた。相談は33歳の長男の交際相手のこと。
長男は地元の高校を卒業後、精密部品製造の工場へ就職。真面目が取り柄で友達も少なく、これといった趣味もない。女性との恋愛経験も皆無。次男は長男とは正反対で、既に結婚し2人の子を持つ。母親は長男にも結婚をしてほしいと強く願っていた。そんな時、「婚活パーティー」の案內を目にした。長男に話す。拒絶覚悟だったが、母親の胸の内を話すと、参加すると。それに向けて眼鏡をコンタクトに巻え、理髪店、洋服まですべて母親が同伴して印象を良くしてパーティーに参加。帰宅した長男は「いい人とマッチングできた!」と。そう話す長男に、うれしかったのはつかの間だった。
その女性は4歳年上の37歳で、離婚歴はあるが子どもはいないという。出身は千葉県で、小学6年の時、父親の転勤を機に県内へ来て現在も両親と同居している。仕事は大学を卒業後、一度教職に就いたが、その環境になじめずに、現在は生命保険会社の経理課で働いているという。明るく話す息子とは正反対に、母親の心はその女性に対して、何か心の中がささくれ立った。
一月ほどたった時、彼女を紹介したいと言ってきた。正直、会いたくはなかったが、どんな女性なのかを見るいい機会だと思いなおし、その女性に会った。そこで母親は大きな違和感に包まれた。とても37歳には見えないし、饒舌(じょうぜつ)で調子がいい。正直落胆したとしか言いようがない。長男が言うには、土日祝日は全て仕事という理由で会ったこともなく、会うのは平日の夜に食事をするだけ。息子が家に行きたいと言っても、父親の体調がよくないからとお茶を濁される。交際して半年、息子は疑いもなく交際している。
母親の疑念は消えることがない。素性調査開始。確実に調査ができるように、息子のデート日の情報を仕入れ、息子の退勤した後を追う。もちろん息子には秘密に進める。ショッピングモールで待ち合わせ、女性はコートを購入し、支払いは息子。その後、食事をして別れ女性が自分の車に乗り込んだのは午後9時。女性を尾行する。向かった先は、2階建ての古びたアパートの一室。翌朝7時から張り込む。すると、中学校の制服に身を包んだ女の子が出て来て自転車に乗り込む。そして9時前にその女性が出て来て、生命保険会社に出勤した。
その後の調査で、その女性は45歳で、5年前に離婚をして娘と2人暮らし。教職の経験も嘘で、仕事は生命保険会社の経理課ではなく保険外交員だった。後日報告。驚いたことに長男も一緒に来た。2人は、調査映像を一言も言葉を発することもなく注視していた。そして長男がポツリと口にした。「50万円貸している…」と。