2年前に娘婿の浮気調査の依頼を受けてから懇意にしている70代の女性。女性の夫は四十数年前、プレハブ小屋1棟・軽トラック1台で廃品回収の仕事を始め、今では産業廃棄物からフロンガスの回収まで行う社員60人の会社に成長させた創業者。35年前に法人にしてから黒字経営であり社員に対する待遇も手厚い。その創業者が病に倒れ闘病生活を送ることになった。それまでも本人は事務管理のことはまったく無頓着。信頼できるという人物にすべて任せ、自分は現場に出ていたという。

ここで大きな問題が持ち上がる。その信頼できるという人物は、勤続20年になる50代半ばの女性の経理部長。家族が最も懸念したのは、経営の根幹に関わる財務関係はもとより、創業者の個人資産を含めた資産の管理、現金の取り扱い等、すべて任せていた。創業者の娘をはじめ事務員を入社させても、肝心な仕事は一切教えず、雑用ばかりを押し付け財務を牛耳ってきた。入社した娘などが創業者にその窮状を訴えても、「経理部長がいなければ会社がまわらない!嫌ならお前たちが辞めろ!」と罵倒される。依頼人も娘も役員なのに何も手を打てない。このままでは、会社が私物化され乗っ取られてしまうとの相談を受けた。

GKは6年ほど前に同様の依頼をこなしたる。誰にも教えない・・・これは明らかに「不正」の症状だと直感し、経理部長の行動調査を実抽。退社後毎日欠かさずスーパーかドラッグストアに寄り1万円近く食料品・消耗品等を購入。探偵は買い物客を装いレジの後ろに並ぶ。セルフ会計で画面にある「領収書」を必ず押す。週2日は、車で20分ほどの築50年は経とうかという古い一軒家へ立ち寄り荷物を置く。土曜日は必ずパチンコで、日曜日は家族4人で外食し領収「書を手にする。1カ月ほぼ同じ行動だった。月の支出が25万円を超えた。

依頼人とともに休日の深夜会社へ潜入し、過去5年間の領収書つづりと経理システムにアクセスして、金銭出納帳・試算表等入手創業者が財務に無頓着なことをいいことに、私用の買い物・外食すべて会社の金銭を横領していた。食料品は「会議費」「福利厚生費」等で処理、外食は「接待交際費」で落とす。週に2回立ち寄っていた場所は自分の両親が暮らす実家だった。5年間で約1500万円。経理部長を追及し罪を認めた。横領したお金で生活費をまかない、浮いた生活費を子供の学費や車代に充てていた。証拠を取りまとめ警察に告発している。しかし、この事実を創業者には知らせていない。裏切り行為の大きさに精神を病んでしまうことが憂慮されるからだ。この会社が立ち直ることを願ってやまない事件だった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。